あなたと歩いた道

あなたと過ごした日々

あなたと見てきた空

全てを、絶対に忘れる事は無いだろう









そして、いつのまにか朝になり、別れの時が近付いてきた

「また遊びにきてねお姉ちゃん達」
「うん、絶対に来るよ」
「明日も来てー」
「うーん、明日は無理かなあ・・・」
「ロットとかジュリとか何処いったんだろ・・・・」

なんだかこの喧騒も心地よくなってきて、少し寂しさもある
だけど進まないといけない、立ち止まる事は出来ない

「じゃ、そろそろ行くねロスト」
「おう」
「ホントに来ないのー?ロストくん」
「元々花火買ったら帰る予定だったしな」

さっきから微妙に目を合わせてくれないロスト
寂しいからなら嬉しいけど、でも最後ぐらい顔合わせたいのが本音だ

とりあえず、少しの間の後先に口を開いたのは東雲だった

「じゃあまたね、みんな」
「ばいばーい」
「またねー」
「絶対また来てよー」

手を振り、そのまま外へ去っていた
どっと寂しさが洞窟内を襲う

「行ったな・・・」
「ホントに行かなくていいの?ロスト兄ちゃん」
「お前らほっといて行ける分けないだろ・・・大丈夫、そのうちまた会えるだろうし」

「「「いや、行かないと駄目!」」」

そこに居たのはトートとロットとシェン

「俺たちはなんとかなるから!」
「今行かないと絶対後悔するって兄ちゃん」
「もうみんなそんなに子供じゃないよ」
「・・・・お前ら・・・」

「大丈夫、これだけ人数いるんだもん、兄ちゃん無しでも暮らせるよ」
「そのうち帰ってきてくれればいいからさ」
「今まで世話してもらった恩返し、少しでも行きたいなら行かないと後悔するから・・・」

奥からロットがあるものを持ってきた

「お前それ・・・」
「うん、ユーカラさんから預かってるライフルだよね、いつもお兄ちゃんの本棚の裏に隠してあったから・・・んでここ数日でロスト兄ちゃん仕様にみんなで改良したんだ、片手で連射利くようにしたり、軽量化したり・・・・だからこれ持って頑張って東雲お姉ちゃん守ってあげて!」

手渡され、それを見つめ・・・・
ぎゅっと握りしめて

「・・・・ホントにいいのか?」
「もちろん」

「・・・・・ありがとう・・・じゃ・・・・行ってくる」

そして、ロストは旅立つ、色々な事を確かめるために
探している人を見つけるために
あいつの傍にいるために


「・・・・いっちゃったね・・・・・」
「うん・・・・まあいつか戻ってくるよ、色々落ち着いたら」
「・・・・・あれ?ジュリちゃんいないんだけど?」
「え?・・・・しまった、付いて行ったなあいつ・・・・」







「さて、行こっか」
「いいの?本当に」
「しょうがないって、一緒に行きたかったけど・・・」
「・・・・行けるみたいだぞ」

振り向くとそこには
予想より早めに気付かれてすこしあたふたしてるロストの姿が

「いや、これはあの、その、あいつらに行けって言われて・・・」
「・・・・ロストくん、少し素直になれば?」
「既にこの時点で言い逃れは出来ないぞ」
「うっ・・・・」

東雲の方を向いてみると今までで一番の笑顔で

「じゃ、いこっか」

差し伸べられた手、今ならもしかすると・・・・
そう思いその手・・・・ではなくて袖をつかむ
そして3秒後、5m後ずさり

「・・・・すまん、まだ無理・・・・」
「・・・・いや、祖でつかめたのでも大進歩だよ・・・拍手ものだよ」
「うんうん、短期間でよくぞここまで・・・・って感じだね」
「頑張ったな」
「・・・・・・そんなに驚く事かこれ・・・・」
「「「うん」」」

はあ・・・っとため息付きながらも、とりあえず気を取り直して

「じゃ、さっさと行くか」
「うん・・・・で、道どっちだっけ?」
「・・・一回で覚えろよ馬鹿・・・・」
「馬鹿じゃないもん」
「私もいく・・・・」

声が一つ増えた
ふっと振り向くとそこにはもじもじと下を向いて
ついて行きたそうにしているジュリちゃんの姿が

「ジュリ・・・・留守番してろって」
「やだ・・・」
「まあまあいいじゃん、行こっかジュリちゃん」
「うん!」
「まあ・・・勝手にしろ」

こうして、これから少し長い間続いて行く旅が始まった
あなたと共にいれた日々が始まった































「・・・・・あ・・・・もう朝か・・・」

気が付くとそのまま寝てたようだ
何か凄く長い夢を見てた気がする

「あ、姉ちゃんおはよ」
「あ・・・・おはようカザネ・・・・全身濡れてるけどどうしたの?」
「・・・・いつもの如くセピアに冷水かけられて起こされた・・・」
「相変わらず仲いいわね・・・」
「やだよあんな幼馴染み・・・・てかどうしたの姉ちゃん」
「え?」
「いや、目、涙出てる上に目真っ赤」
「うそ!?あ・・・」

自分でも気付かなかったが頬を触ってみると涙の跡があり、目をこすると濡れていた、多分夢が原因だとは自分でも分かったが

「ううん、大丈夫、覚えてないけど多分悲しい夢見てただけだと思うから」

弟に心配をかけないように笑顔で答える
こんな事で心配や不安にさせたくないから

「それならいいけど・・・あ、そうだ、今日はちゃんと帰ってきてよ」
「どうして?」
「・・・・自分で自分の誕生日忘れるなよ・・・・」
「あー・・・今日7月7日か・・・・もうこの年になると誕生日なんて忘れるのよ」
「人の名前も覚えてないし・・・何処の老人ですかあなたは」
「今日で23だし・・・・年とったのよ私も・・・」

遠くを見つめるようにして、悲劇のヒロイン気取りしている姉を見てため息付きながら

「馬鹿でしょ姉ちゃん」
「・・・・まあその辺は置いといて」
「流すなよ、否定しようよ」
「いや今に始まった事じゃないから・・・ねえ?」

普通馬鹿って言われたら否定するだろう・・・とか思うのだがどうだろう

「・・・ま、いいや、俺も出かけるから出かけるなら鍵絞めて行ってね」
「お、古桃ちゃんかセピアちゃんとのデート?」

・・・・何でそこで恋愛の話題出てくるか分からない・・・

「何故そうなる・・・・てかセピアに恋愛感情持つ事一生ねえよ・・・」
「えー、かわいいじゃない、あの子」
「見た目良くても性格がやだよ、命いくらあっても保たないって」
「何度も死にかけてる人が言うと説得力ないわね」
「9割は姉ちゃんに殺されかけてるけどな」
「6割は酔ってるからわかんない」
「4割故意じゃん」
「強くなったらいいじゃない、あと私のヨーグルト食べたり私の酒買い忘れなければ」
「自己中め・・・ま、時間無いし、いってくる」
「いってらっしゃーい・・・・私も出かける準備しないと・・・」

とりあえず昨日現れた朧夜の行方を調べて、そして・・・

すくっと立ち上がり、寝巻から着替えて外出の準備をする
無意識に髪を上の方で一つにまとめようとしたが、すぐにやめて首の辺りでリボンを結んで纏めることにする、あの頃のように地面まで付く長さじゃないからこれでも十分に纏められはするから

「・・・このリボン、ロストに貰った奴だもんね・・・」

ちょっと口元が緩んで、自然と笑みがこぼれる、少しぎゅっと握ってからそれで髪を縛り、部屋を後にした












「というわけで、最近妙に姉ちゃんの様子がおかしいわけだ」
「気のせいじゃないの?」

こちら、コウ゛ァマカの街を歩くカザネとセピア、というかセピアが着いてきたわけで

「てかなんで着いてくる」
「いいじゃん、あんたでかけると遊び相手いなくて暇なのよ」
「友達居ないだけじゃ・・・がふっ」

いい終える前に後頭部にヌンチャククリーンヒット
てか縄とか手錠とか色々いつも出してくるが何処に隠してるんだろうとか思ったがそんな事言えるはずも無く

「何か言った?」
「いえ、何でも無いです・・・」

周りに逆らえない女が二人とか自分の人生が嫌になる・・・・
いつもそう思うんだが、それでも何となくこの環境が好きな自分はMなのか・・・・

「んで何処行くのさ?」
「スカイさんとこ、姉ちゃんスカイさんに剣教えてるらしいから何か知ってるかなあって思って」
「そう言えばあの人情報屋もやってるんだっけ」

てか一回連れられて行って、そこでスカイさんと知り合ったわけで





んでスカイさんがいるはずの画材屋へ来た、情報屋はだいたい店などを開いてカモフラージュしてるとか聞いた事がある

「ごめんくださーい」
「あ、こんにちわカザネくんにセピアちゃん」
「あれ、マイナさんだけですか?」
「うん、スカイでかけてて私留守番・・・・」

店に入るとカウンターにはスカイさんの彼女のマイナさんがいた
心なしか凄いむすーっとしている気がする

「どうしたんですか?」

セピアも気付いたようだった

「いや・・・最近なんか忙しくてかまってくれなくてさ・・・一緒にいたいのに・・」

ぷくーっと頬を膨らませながら机に突っ伏す姿は普通に可愛いと思ってしまった

「というわけで、今情報屋としてはやってないよー、画材は売るけど」
「そっか・・・・どうしよう・・・」

と、悩んでるうちに、後ろの扉が開き

「あれ?スカイ君いないの?」
「あ、シェイク、今スカイ留守なの」

声がする方に振り向くと
金色の長い髪の綺麗な女性
シェイクがそこには立っていた

「そう・・・・困ったわね・・・スピアもいないんだけど・・・」
「何か用だった?」
「いやスピアに手伝ってもらう事あったんだけど今朝起きたらいないから、スカイ君のところかなあって思って・・・で、この子達は?」
「あ、カザネくんとセピアちゃん、ほら東雲さんの弟君と朧夜君の妹さん」
「そっか、こんにちわ」
「あ、ども」
「んでこの人はシェイク、スピア君の双子のお姉さん」

スピアに関しては何度か会った事がある、思えばとても良く似てると思う

「あなた達もスカイ君に用事?」
「はい、ちょっと姉ちゃんの事について聞きたい事あって・・・何で叩羅持ってるのかとか、昨日少しだけ聞いた昔話とか・・・400年前がどうとか・・・」
「んー・・・・その辺の個人情報はユーラナスちゃんに聞いた方が早いかも、スカイ君は住所とかアジトデータ中心に持ってるし、私は総合的にやってるけど今何も資料持ってないから」
「シェイクも情報屋やってるもんね」

シェイクスピア双子の名はこの裏社会でも有名で、スカイとかに比べて圧倒的に知名度もあった
ちなみにスピアは密偵をやっている

「ユーラナスさん・・・・姉ちゃんから聞いた事あるような・・・」
「この外の道を北の方に進んで最初の曲り角にある店行けばいるわよ、多分色々分かると思う」
「どうもありがとうございます、じゃ、失礼しました、行くかセピア」
「あ、うん」

そう言い残し、カザネとセピアは店を後にした


「叩羅・・・スカイが持ってる剣の双刀だっけ?」
「うん、スカイ君持ってる理由はなんとなく分かるんだけどね、ピアスなら過去に飛ばすぐらいしそうだし、問題は叩羅の方、あれの行方、そのウインレイが生きてた時代から行方不明にはなってるの、一般的な見解は親友のガイアに渡されたって感じなんだけど・・・・」

んーっと悩んだ結果

「ま、その謎はそのうち考えるとして、マイナもスピア探すの手伝ってくれない?多分スカイ君と二人セットでいると思うから」
「あ、うん、いいよー」
「スカイ君目当てね」
「・・・・・否定は出来ないけど・・」
「ホント大好きなのねえ、スカイ君の事」
「・・・・・うん」
「それだけ愛されたら本人も幸せでしょうに・・・」
「シェイクの方はどうなの?エインと」

たまに一緒にいるのを見かけた事ある、遠く別次元にいる帝王様、エインヘル・カラント
一瞬シェイクの動揺が少し表情に現れたように見えたが、すぐにいつもの表情になり

「さあ、最近会いにこないけど何してるんでしょうねえ・・・ま、さっさとスピア探しに行こっか」
「あ・・・・もしかしたらあそこかも・・・・今日依頼者と行くって行ってたし・・・」
「何処?」
「えっと・・・・・・」









場面は変わってカザネとセピア
とりあえず、ユーラナスの店の前まで来ていた

「見た感じは普通・・・・だよなあ・・・・」
「そりゃああからさまに怪しかったら商売上がったりじゃないの、少しは考えなさいよ」
「うっせえなあ・・・・」

頭に重い衝撃、多分セピアに殴られたんだなあと地面にぶつかる辺りで思った

「ま、とりあえず行こっか、行くわよカザネ!」
「俺の回復少しぐらい待て・・・ってか案外ノリノリじゃねえかよ・・・」

そしてそのままずるずると引きずられるように店内へ
ドアを開けるとコーヒーの香りがすぐ香り、少しの冷気を感じて、鉄のにおいもした

「いらっしゃいませー」



「あの・・・・シェイクさんに教えられて来たんですけど・・・」
「シェイク?ということは情報の依頼ね、とりあえずカウンター座って」

そういって案内されるがままにカウンターに座る。
こう見るとホントに喫茶店にしか見えない、辺りを見渡せば色々な客がいる、奥の方には金髪で後ろで髪を縛ってる男の人がいるし、横には銀髪の長い髪のお姉さん、後ろの席には赤い髪の女の人と黒い髪の女の人がいる


そして奥の方の椅子にはカボチャの帽子をかぶった男の子
なんだか、微妙に普通の店じゃないような気がしたが気にしない事にする

「とりあえずコーヒーどうぞー」
「あ、ども・・・」

とりあえず出されたコーヒーを口に運ぶ・・・・美味しい
姉といる時はたいてい酒しか置いていないので一人でいる時以外コーヒーとか飲む機会ないのだが、入れ方教えて欲しいぐらい美味しいコーヒーだった

「それで、何の御用で?見た感じ全く一般人に見えるけど」
「ちょっと調べて欲しい事ありまして・・・・姉の東雲について」
「東雲?・・・・あー君東雲さんの弟さんかー」
「姉ちゃんの事知ってるんですか?」
「うん、最初に君の事探すのにここに来たから、んでスカイ君紹介したのよ、居所関連あっち専門だし」
「へえ・・・・そうだったんですか・・・」

一年前、ずっと離ればなれになった姉と再会できた、幼い頃の記憶は無いが、気がつけばこのセピアの兄の朧夜に連れられて遠くからここに来たという記憶だけ、それ以外の話を姉はしてくれないのでずっと気になってはいた、幼い頃何があったのか・・・・
「それで、姉の昔の事について、何故叩羅持ってるのかとか、分かりますか?」

ユーラナスはうーんという顔をした後、少し残念そうに

「それが・・・知り合った後調べてみたんだけどさ・・・・見当たらないのよ、この世界にいる人たちの個人情報はほとんど持ってるはずなんだけど・・・」
「え?」
「少しぐらい情報残ってても良いはずなのに全くないなんてあり得ないのよ、普通は」

全くないって・・・・それって・・・

「死んでいる人だって情報の一つや二つあるのよ、情報が無いってことはすなわち・・・・・」

一瞬空気が冷えた気がした

「元から存在しないか、この時代の人じゃないか・・・・・それしかないの」

昨日姉の言っていた言葉を思い出した、初恋の人がウィンレイ、ウィンレイは400年前の人・・・・あれは冗談じゃなくてまさか本当に・・・・
というか・・・・

「情報ないってことは・・・・」
「ええ、ここで教えられる事は何も無いって事・・・・残念だけど・・・」
「待って」

そう言って話に入って来たのは、隣でコーヒーを飲んでいた銀色の髪の女の人

「東雲って言ったわねその人」
「はい・・・・知ってるんですか?」
「確か名前見た事あるのよ・・・・・・」

そう言って鞄の中をがさごそと探す、そして少しして一枚の紙を取り出してこちらにそれを見せながら

「この人よね?」
「・・・・・はい、でも今より髪長かったり顔若いような・・・・」

その紙に写っている写真の人物は間違いなく姉ではあった
銀髪の女の人はそのまま言葉を続けて

「そりゃあね・・・これあたしのいる組織の本部関係の400年前の人員データだもの」
「・・・・・え?」
「ちょうど今日これ渡しにこの喫茶店来てたんだけど・・・運良かったわねあなた」
「久々に運良いって言われたんじゃない?カザネ」
「確かに・・・って400年前ってじゃあ昨日のあれは本当に・・・」

はたと思う、姉が400年前の人間だとすると
・・・・・今重要な事に気付いた気がする・・・

「ユーラナスさん・・・俺のデータあるか調べてもらえますか?」
「うん、ちょっと待ってね」

そういってユーラナスさんは奥の部屋の方へと入っていった
そしてふと後ろにいた二人の少女から声をかけられる

「あ、君がカザネ?」
「あ、はい・・」
「スピアとスカイから何度か話聞いた事あるんだ、俺ベル、よろしく」
「同じく夕夢ーよろしくー」

今日はよくスピアさん関連の人に会うなあ・・・
とりあえず赤くて長い髪の女の子が夕夢、黒くて短めの髪の女の子がベルと覚えた

「特にスピアからはよく聞くね、俺と同じ苦労人いるって」
「あともの凄く運の悪い不幸人とも」
「いろんなところで噂になってるねカザネ」
「嬉しくない有名のなり方だけどな・・・・」

そう話しているうちに横の方でボンッと爆音がした
びっくりしてそちらに目を向けると咳き込む音が聞こえて
大丈夫なのか声をかけようとすると奥の部屋からユーラナスさんが飛び出して来てその場にいくや否や

「ジール!人の店の機材壊すな!うちは修理頼んだはずでしょ!?」
「いや、せっかくだから見た目とか機能も良くしようと・・・」
「あんたのセンスで勝手に見た目変えるな!ていうか壊したら元も子もないでしょ!」
「だってよお、元々お前がここまで酷使するからすぐ壊れるわけで、もう少し丁寧に扱えよ・・」
「うっさい!商売繁盛してるんだから使う機会も多くなるのは当然でしょ!いいからさっさと直して!」
「はいはい・・・ったく人使いあらいな・・・・俺の彼女は」
「あんたの彼女になった覚えは無い!」

ふうっとため息をついて、こちらへと戻って来て、さっきまでの表情とはうってかわって対面の表情になり

「んで、カザネ君の事だけど・・・・やっぱりなかったわね」
「そうですか・・・やっぱり・・・」
「そういうことになるわね・・・・」

自分もこの時代の人間じゃない・・・・・か
さっきの時点で予想はしていたから、そんなショックではなかったけど
ふと姉の「カザネがこんにゃくだったみたいな重大告白」とか言ってたのを思い出した、今となっては嘘言ってなかったんだなあとか思う

「まあでもこれでこの依頼の根本はほぼ解決してしまったんだけど・・・」

ウィンレイの事もそういった組織とかに姉が居たのなら知り合っててもおかしくはないかもしれない、ホントに初恋だったのかもしれないし、それで叩羅を貰ったのかもしれない。
それ以前の事は調べようが無い、何故自分が離ればなれで十何年も姉に会えなかったのか、どうやって400年前から現代へ来たのか・・・
そして一番気になるのは今日のどう見てもおかしい姉の様子

・・・だめだ、どんどん知りたい事が増えて行く
でも知る術なんて・・・・

「・・・・どうしよ・・・」

そう悩みはじめると横に居たセピアががばっと立ち上がって

「じゃあ400年前に行けばいいじゃない!」
『無理だろ・・・」
「だって東雲さんもカザネも400年前から来たって事になるじゃない、じゃあ行く方法だってあるはずよ!」
「まあ・・・・そうなんだけど・・・」

そう、ここに今自分がいると言う事はどうやってか400年前から来たわけで、でも思い出せる記憶は姉と遊んでた記憶と、セピアの家に預けられた記憶、おそらくその間にある記憶が重要なはずなんだけど・・・・
思い出せない・・・・



「ねーねー、空間渡る方法探してンの?」
「いやどっちかというと時間遡る・・・・って君は・・・」
「俺はメルー、兄さンの付き添いで今日はこの世界へー」

いかにも怪しかったカボチャ帽子の彼はメルと名乗った
っていまこの世界って・・・

「この世界って・・・・別の世界から来たとか・・・?」
「うン、この世界によく似てるけど違う世界から来たンだー」
「似てるの?」
「魔法学校あるしー、こういった街あるし、住んでる人違うぐらいー」
「そうなんだ?」

あ、セピアが凄い興味持ってる、こいつ面白い事に苦労を惜しまないほど面白い事好きだからなあ・・・・・・

「んーとね、今から300年前になンか世界がいくつかに別れたンだって兄さンが言ってた、その時分かれた世界は元々一つだから似た世界になったンだってー」
「へえ・・・・・・・」
「ところで時間遡りたいンだっけ?その世界から来る方法なら兄さン知ってると思うンだけど、時間遡りはわかンないなあ・・・」

メルが残念そうにそう嘆いた

「それでその兄さんってのは・・?」
「兄さンはねえ『しばらく会いに行ってなくて寂しがってるだろうから会いに行ってくる』とか言って誰かに会いにどこか出かけたよー」
「そっか・・・・その人なら何か知ってるかと思ったんだけど」

これでまた振り出しに戻る、この場で解決する事不可能かと思った
しかし、その時、店の扉が開き

「時を遡る方法お教えしましょうか?♪」
「ウィスティリアさんに怒られるって、アリス」
「いーのよフロルージュ、事後報告すれば♪」

そこに立っていたのはもの凄くフリフリのメイド服と巫女服を無理矢理合わせたような服を着た大きなリボンの少女と
赤い髪をポニーテールにした少し元気そうな少女が立っていた




そしてこれが、多分今までの人生で一番色々ある一日の始まりでもあった

忘却されしこの物語が、再び何百年の時を経て動き出した




back home next